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この国の姿を左右する大問題!~日本学術会議の新会員任命拒否~ [時事雑感系]

 菅総理による日本学術会議の新会員任命拒否は極めて重大な問題だ。ことは安倍政権の時代からの動きのようだが、政権の勝手な思惑でこの国にとって大切な財産である「知性」を都合よくコントロールしようという話であり、まさに学問の自由への攻撃だ。

 任命を拒否した当の首相はその理由を全く示さない上に、あろうことか推薦者105名が掲載された名簿を「見ていない」ときた。では一体誰がいかなる理由で判断したのか、説明すべきことは山ほどある。

 政権は「モリ・カケ・サクラ」では野党の追及に「知らぬ存ぜぬ」で押し通し、まんまと「逃げ切った」と思っているのかもしれないが、この問題はまさに憲法で保障された国民の権利や自由に関わる重大な事態であり、これからのこの国の姿を左右すると言ってもよい問題だ。野党は徹底した追及を続けてほしい。

 菅総理は政権のスタートにあたって「安倍政治の継承」を掲げた。小生から見れば、安倍元総理がやってきたのは、「あらゆる権力をその手中に収める」という野望の実現に向けた動きだ。民主主義の形をとった独裁政治への道筋をつけようとする動きは、まさに麻生副総理がうっかり漏らした「ナチスの手口」そのものだ。道半ばで退場することになった安倍氏が菅新総理に託したのはまさにそのことなのだろう。今回のことはこの一連の動きのひとつとして見るべきだ。

 かつてあの「タカ派」として知られる中曽根康弘元首相は、1983年に国会で「政府が行うのは形式的任命にすぎない」「学問の自由独立はあくまで保障される」と答弁している。かつての自民党政権には、あたりまえの話ではあるが、常に憲法の理念を念頭においての政治があった。

 今はどうか。まさに「タガが外れた」としか言いようのない事態が起こっている。共謀罪法しかり、安保法制の問題しかり、そして今回の問題だ。戦後70余年にわたっって培ってきたこの国の民主主義の本当の危機がすぐそこに迫っていると思う。

 今回の事態に際して自民党政権内からは「学術会議のあり方を見直すべき」との意見も出ているという。また河野行政改革担当相は「学術会議を行政改革の対象にする」と言っているようだ。これはまさに論点のすり替えでしかないし、「行政改革」の名の下に学術会議、そしてひいては他の「気にくわない」組織に圧力をかけようとする狙いが透けて見える。

 「見直し」も「行革」も結構だが、いま菅政権が真っ先にすべきことは今回の任命拒否に対する疑問に答えることだ。もし合理的で国民が納得できる理由を示すことができないのであればすることはひとつしかない。任命拒否の撤回だ。あり方の見直しや行革の一環での検討はそれからゆっくりやったらいいと思う。

 この騒動を見ていて不思議に思うのは、あまたいる自民党や公明党の政治家たちの声がまったく聞こえてこないことだ。自民党・公明党のセンセイたちは、自分たちが選んだ党の代表者がこんなでたらめなことをやっていることが、イヤではないのだろうか。あるいは「変だな」と思っていても、そういう意見を言うことができないほどに与党内の「恐怖政治」が行き渡ってしまっているということなのだろうか。

 どちらにしてもこれは民主主義を謳う国の政党として重大な事態だと思う。まあ、誰の言葉だか忘れたが「国民はそのレベル以上の政治を持つことができない」というから、要は小生たち国民自身の問題なのだが…。

 近頃の国政選挙では投票率は50%程度にしかならないようだ。せっかくの政治参加のチャンスを棒に振るとは何ともったいないことか。これまで長いこと、政治は「おまかせ」でなんとかなると思って、みんなそれが身についてしまっているようなこの国だが、ここ数年の政治の私物化的な出来事を見ていると、いよいよ「任せられない国」になってきたと思った方がいい。

 みんなが自分の身の回りのことから少し目線を遠くに向けて、「世の中」を動かす「政治」を自分の「くらし」と結びつけて考えることができればいいのだが、なかなかそういう空気ではないなあと思ってしまう。しかし諦めたら誰かさんの思うつぼ、よく言われるように「微力だが無力ではない」と信じて、いろいろなところで声をあげ、ささやかなアクションを続けていきたいと思う。

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